悪夢で目が覚めた。
背を伝う冷や汗と共に夢の詳細は砂が風に吹かれるように消えていったけれど、何かの褒美と称して魚屋を3軒まわって買い占めたような量の新鮮な魚が届き、酷く体調の悪い中それを当日中にすべて捌いてどうにか保存できる状態にしてやらねばならない、という場面があった。何かは知らないが契約ごとに関する難解な稟議を通し、承認時のコメントに並んだ顔も覚えていないお偉方が酷く巫山戯た文言を残していて、その中に魚の贈答を示唆するものがあった。憤りを向けるにはあまりにも意思能力を欠いた文章で、私は大量の魚の透き通った目に映されながら、もう何年も魚など捌いていないことを思い出していた。冷や汗が引くのを感じて時計を見たら0時56分とあって、何だか現実でも遣り切れない気持ちで堪らなくなってきたので要らん夜更かしをしている。そういうことをするから翌朝辛くなる。

 

やらなければならないことが多過ぎる、と日々嘆いているけれど、今日に関しては事を済ます時間があったにも関わらずただ怠惰で時を食い潰していた。そんなことをしたらもう「時間がない」なんて言い訳は出来ないよなあ、最近はもう、何をどのように片付けていたのか思い出せなくて、あんなに整然と整えておかなければ気が済まない性分だったのに、部屋も仕事も自分も何もかもぐちゃぐちゃになっている。散らばったものを見てもどうやって片付けるかを考えられず、ただただ「散らかっているな…」と呆然とするしか出来なくなってしまった。それがとても悲しい。目線を部屋へ移す。洗濯物が点在している。酒を煽る。醜態を肴にしている、と思う。本当に何もかも、酷い有り様だなあ。