非常に珍しいことだけれど、この数日能動的に生活の傍ら断捨離をしている。軽快に動けている、と高揚した直後に頭痛と吐き気と閃輝暗点で倒れ込み、体温を測ると37.2℃、といったことが頻発するのを除けば革命的なまでに素晴らしい日々を送っていると言って差し支えないのかもしれない。
ずっとこの行動力が続けばどれだけいいだろう、と思う。
健全なニンゲンに近い生活がそう続かないことなんて、ずっと前から知っている。
お風呂上がり、一足先にリビングへ向かった幼児が、わァ、と声を漏らし、「ママ、ちょっとこっちにおいでよ」とやさしい声で言った。幼児は天窓を指差した。
「あのね、おふろから あがって、ふぅ、って上をみたらね、みて、お月さまがとってもきれいなの」
幼児はやわらかく小さな手を上へかざして、何かをそっとつかまえる素振りをしたあと、おいしい、とはにかんんだ。今夜のお月さまは葡萄の味がするという。
真似て私も手をかざし、月から何かを与えられた素振りをした。それを子と分け合うと、今度は"ぷるんと"の味がすると笑った。"ぷるんと"というのは個包装されたこんにゃくゼリーの商品名を略したものだ。子はそのゼリーがたまらなく好きで、いつも宝物のように大切に食べる。月は宝物にもなるのかもしれない。
夜更かしした日は眠るのが怖い。
これを書いたら諦めて眠る。
朝まで目を覚ましませんように。